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インプラント治療が短期間で終わる「抜歯即時埋入」
失った歯をチタン製の人工歯根で回復させるインプラント。
天然歯の見た目や噛み心地を忠実に再現できることで有名な治療法ですが、人工歯根の埋入手術は、患者様の顎の状態や選択した術式によって手順が大きく変わります。
今回はその中でもインプラント治療を短期間で終わらせることができる「抜歯即時埋入(ばっしそくじまいにゅう)」という方法について解説します。

抜歯即時埋入とは?従来のインプラントとの違い
従来のインプラント治療は、保存が不可能となった歯を抜歯して、骨が治癒するのを待ってから人工歯根にあたるインプラント体を埋め込みます。
顎の骨の治癒には、数か月を要するため、インプラント治療にかかる期間もそれだけ長くなります。
一方、歯を抜歯した直後にインプラント体を顎骨へと埋め込める抜歯即時埋入なら、骨の治癒にかかる数か月を省くことができることに加え、その期間中に骨が吸収していく現象を最小限に抑えられるという利点も伴います。
ただし、抜歯即時埋入も万能な治療法ではなく、適応できない症例があったり、術中・術後の感染リスクが高まったりするなどの欠点があることも事前に正しく理解しておかなければなりません。
抜歯即時埋入のメリットとデメリット
インプラント治療の抜歯即時埋入は、以下に挙げるメリットとデメリットを伴います。
【メリット】
◆インプラント治療の期間を短縮できる
抜歯即時埋入における最大のメリットは、インプラント治療の期間を短くできる点です。
上述したように、従来のインプラント治療では、保存不可能な歯を抜歯してから顎の骨が治癒するまで待機しなければなりません。
具体的には、顎の骨の治癒には2~3か月程度を要することから、抜歯即時埋入を選択すれば、その期間の分だけインプラント治療を早く終えることができます。
インプラントは、ブリッジや入れ歯と比較すると、長い期間を要する治療法なので、それを短縮できることは患者様にとって極めて大きなメリットとなります。
◆顎の骨の吸収を抑制できる
私たちの顎の骨は、歯がなくなると徐々に痩せていきます。
これは噛んだ時の力が顎の骨に伝わらなくなることで、退化現象が起こるからです。
抜歯してすぐに人工歯根を埋め込めば、噛めるようになるまでの期間も短くなるため、顎骨の吸収を最小限に抑えられることでしょう。
◆インプラント治療の仕上がりが良くなる
顎骨の吸収には、歯ぐきの退縮も伴います。
歯ぐきが下がると、きれいなインプラントを装着したとしても、見た目が悪くなりがちです。
抜歯即時埋入で顎骨と歯ぐきが下がるのを防げれば、インプラント治療の仕上がりも自ずと良くなります。
◆心身への負担が少なくなる
従来法では、外科手術を3回行うのが一般的です。
1回目は抜歯、2回目は顎の骨にインプラント体を埋め込む1次手術、3回目は上部構造の土台となるアバットメントを装着する2次手術です。
抜歯即時埋入を実施した場合は、1回目と2回目の手術をひとつにまとめることができるため、患者様の心身にかかる負担も軽減できるのです。

【デメリット】
◆適応症例が限定される
抜歯即時埋入は、患者様の顎の骨や全身状態が良好でなければなりません。
そのため抜歯即時埋入を適応できるケースは、一部に限られます。
◆感染のリスクが高まる
手術回数を1回分減らすことができる抜歯即時埋入は、その点において感染のリスクも減らせるのですが、顎の骨が治癒する前にインプラント体を埋入するため、その時の感染リスクは従来法よりも高くなります。
◆対応できる歯科医師が一部に限られる
インプラント治療の抜歯即時埋入は、専門性が極めて高い術式であることから、対応できる歯科医師が全国的にも一部に限定されます。
ケースによっては、骨移植を同時に行わなければならないこともあるため、適切な知識と技術、豊富な経験を持った歯科医師に治療を任せる必要があります。
◆費用が高くなる
インプラント治療で抜歯即時埋入を選択すると、従来法より高額な費用がかかる点に注意が必要です。

抜歯即時埋入が適しているケースとは?
抜歯即時埋入のデメリットでも説明したように、この術式が適しているケースは一部に限られます。
まずは、顎の骨の状態が良好でなければなりません。
例えば、歯周病の重症化によって歯の保存が難しくなっているケースは、抜歯即時埋入を適応できないことが多いです。
交通事故による外傷で歯の保存が難しくなったケースも顎の骨に大きなダメージが及んでいると抜歯即時埋入が適応できないかもしれません。
こうした悪い症状がない次のような症例には、インプラント治療の抜歯即時埋入がおすすめといえます。
◆1度に複数本の歯を失う症例
抜歯即時埋入により治療期間を短くすることで、食べ物を噛めない不便な期間を短くできます。
◆前歯の抜歯を伴う症例
前歯の顎の骨はもともと薄いことから、抜歯による顎骨の吸収が起こると、審美性が著しく低下する恐れがあります。
抜歯即時埋入なら顎骨の吸収も最小限に抑えられるため、インプラント治療後の仕上がりも良いものが期待できます。
治療の流れ
インプラント治療の抜歯即時埋入は、次の流れで進行します。
STEP1 検査・診断・治療計画の説明

STEP2 抜歯(局所麻酔下での手術)

STEP3 インプラント体の埋入(1次手術)

STEP4 治癒期間(3~6か月程度)

STEP5 アバットメントの装着(2次手術)

STEP6 歯型取り・上部構造(被せ物)の製作

STEP7 上部構造(被せ物)の装着

抜歯即時埋入では、【STEP2】の抜歯と【STEP3】のインプラント体の埋入を同時に行います。
まとめ
今回は、インプラント治療が短期間で終わる「抜歯即時埋入」について解説しました。
従来法では抜歯をしてから2~3か月待って、人工歯根であるインプラント体を埋め込まなければならないのですが、抜歯即時埋入ならこの2つの手術を同時に行えます。
そのため抜歯即時埋入には、治療期間の短縮、骨吸収の抑制、仕上がりの向上、心身の負担の軽減といったメリットが得られます。
とはいえ抜歯即時埋入は、すべてのインプラント症例に適応できるものではないので、ご自身のケースが気になる方はいつでもお気軽に当院までご相談ください。
当院では無料カウンセリングを実施しております。まずはお気軽にご相談ください!
この記事の筆者

加茂歯科医院 院長の加茂です。
当院では、インプラント治療を専門的に行っており、患者様の負担を減らす「抜歯即時埋入」にも対応しています。