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他院で「骨が足りない」と言われた方へ|インプラントと骨造成の考え方

「インプラントを希望して相談に行ったのに、骨が足りないので難しいと言われた」――そう聞いて、インプラントをあきらめかけていませんか。

インプラントは顎の骨に人工の歯根を埋め込む治療です。支えになる骨の高さや厚みが足りなければ、そのままでは埋め込めません。ただし「今の骨のままでは難しい」と「インプラントそのものが無理」は別の話です。足りない骨を補う「骨造成(こつぞうせい)」を組み合わせれば、治療できるケースは少なくありません。

この記事では、福岡市博多区の加茂歯科医院の院長が、骨が足りなくなる理由、4つの骨造成の違いと費用、総額の目安、インプラント以外の選択肢までを順番にお伝えします。読み終えるころには「自分の場合、次に何を確かめればいいか」が分かるはずです。

この記事のポイント

  • 骨が足りない原因は「抜歯後の時間の経過」「歯周病」「上顎の奥の構造」の3つが中心
  • 骨造成は4種類。どれが必要かで、費用は1か所あたり110,000〜220,000円の幅で変わる
  • インプラント1本+骨造成1か所の総額は、組み合わせによって550,000〜770,000円が目安(税込)
  • ブリッジ・入れ歯のほうが合う人もいる。比べたうえで選べばよい

なぜ「骨が足りない」と言われるのか

顎の骨は、歯を失うと少しずつやせていきます。歯があるうちは噛む力が骨に伝わって骨が保たれますが、歯がなくなるとその刺激が途絶え、高さも厚みも減っていくためです。

骨が足りなくなる理由は、主に次の3つです。

  • 抜歯してから時間がたっている:歯を失った直後より、何年もたってからのほうが骨は薄くなっています
  • 歯周病で骨が溶けた:歯周病は歯を支える骨そのものを失う病気です。抜けた歯のまわりは、最初から骨が少ない状態になっています
  • 上顎の奥歯は、もともと骨が薄い:上顎の奥には上顎洞(じょうがくどう)という空洞があり、骨の高さが取りにくい部位です

「骨が足りない」と言われたときは、どの理由で・どの部位が・どのくらい足りないのかによって、次の一手が変わります。

骨造成の4つの方法と、費用・期間への影響

骨造成は、足りない部分に自分の骨や骨補填材(こつほてんざい)を補い、インプラントを支えられる骨をつくる処置の総称です。不足している場所と量によって、次の4つを使い分けます。

インプラントが顎の骨に埋め込まれている様子の模型
方法どんなときに使うか費用(税込・1か所)期間への影響
ソケットプリザベーション抜歯した直後に、骨がやせるのを防ぎたいとき110,000〜220,000円抜歯の時点で行い、骨が落ち着くのを待ってから埋入
GBR(骨誘導再生法)骨の幅や高さが部分的に足りないとき110,000〜220,000円埋入と同時にできることもあれば、先に骨をつくることも
サイナスリフト上顎の奥で、骨の高さが大きく足りないとき165,000〜220,000円骨が固まるのを待つため、期間は長めになりやすい
ソケットリフト上顎の奥で、骨の不足が比較的少ないとき110,000〜165,000円多くは埋入と同時に行える

期間を左右するのは「同時にできるか」

骨造成とインプラントの埋入を同じ手術でできれば、通院は短く済みます。先に骨をつくる場合は、骨が固まるまで数か月待ってから埋入します。どちらになるかは、歯科用CTで骨の高さと厚みを測れば診断の段階で分かります。

結局いくら? 総額・期間・リスクの目安

単価だけでは「自分はいくらになるのか」が分かりにくいため、インプラント1本に骨造成を1か所組み合わせたときの総額を計算しました。インプラントの費用にはCT撮影・手術用ガイド・仮歯・被せ物まで含まれ、手術から被せ物の装着までにこれ以外の費用はかかりません。

組み合わせ(インプラント1本)総額の目安(税込)
インプラントのみ(骨造成なし)440,000〜550,000円
+ソケットリフト550,000〜715,000円
+ソケットプリザベーション550,000〜770,000円
+GBR550,000〜770,000円
+サイナスリフト605,000〜770,000円

費用・期間・通院回数の目安(自由診療・税込)

  • インプラント:1本 440,000〜550,000円(税込)※CT撮影・手術用ガイド(ステント)・仮歯・被せ物(上部構造)を含みます。金額の幅は使用するインプラントのメーカーによります
  • 骨造成:ソケットプリザベーション 110,000〜220,000円/GBR 110,000〜220,000円/サイナスリフト 165,000〜220,000円/ソケットリフト 110,000〜165,000円(いずれも税込)
  • 治療(手術から被せ物の装着まで)に、上記以外の費用はかかりません
  • 治療期間の目安(骨造成を伴う場合):4〜9か月/通院回数の目安:8〜15回(手術から被せ物の装着まで)

インプラント・骨造成は自由診療(保険適用外)で、外科処置を伴います。主なリスク・注意点は次のとおりです。

  • 術後に痛み・腫れ・内出血が出ます。感染が起こることもあります
  • 骨造成をしても、予定した量の骨ができない、インプラントが骨と結合しないことがあります
  • サイナスリフト・ソケットリフトでは、上顎洞の粘膜の損傷や炎症など、上顎洞に関わる合併症のおそれがあります
  • 喫煙している方、糖尿病の管理が不十分な方は、成功率が下がります。状態によってはインプラントが適しません
  • 治療後も、定期的なメンテナンスと毎日のケアを続けないと、インプラント周囲炎で骨を失うことがあります

インプラント以外の選択肢と比べる

骨造成まで必要と分かったら、ブリッジ・入れ歯と比べてから決めて構いません。骨の状態や全身の状態によっては、そちらのほうが体の負担が少ないこともあります。

インプラント(+骨造成)ブリッジ入れ歯
手術必要不要不要
両隣の歯を削るか削らない削るばねをかける歯に負担がかかる
噛む力自分の歯に近い比較的しっかり噛める硬いものは噛みにくい
骨がやせるのを防ぐ防ぎやすい防げない防げない
費用自由診療(上記の総額)保険の選択肢あり保険の選択肢あり
向いている人手術ができ、通院期間を確保できる人両隣の歯がしっかりしている人手術を避けたい人・多くの歯を失った人

入れ歯には保険のもののほか、金属床やバネのない入れ歯など自費の種類もあります。種類ごとの料金・期間は歯を失った方へのページにまとめています。

加茂歯科医院には歯科技工所が院内にあり、歯科技工士が常勤しています。インプラントの被せ物だけでなく、ブリッジや入れ歯も同じ院内で作って調整できるため、どの治療を選んでも最後まで同じチームで診られます。

加茂歯科医院で相談すると、何が分かるか

院長が歯科用CTの画像を見せながら説明している様子

当院では、まず無料カウンセリング(30分程度)でお悩みをうかがい、治療の選択肢と費用・期間の目安をお伝えしています。インプラントを検討する方は、そのうえで次のように進めます。

  1. 歯科用CTで骨を立体的に測る:骨の高さ・厚み、上顎洞や神経との距離を確認します。レントゲン写真だけでは分からない情報です
  2. 骨造成が要るか、どの方法かを決める:同時にできるか、先に骨をつくるかもここで分かります
  3. インプラント以外も含めて比べる:ブリッジ・入れ歯のほうが合う場合は、そうお伝えします
  4. 総額・期間・通院回数の見通しをお伝えする:それを確認してから、治療するかを決めていただけます

院長は九州大学歯学部の口腔外科で外科治療に携わってきました。それでも、骨の不足が大きすぎる場合や全身の状態によっては、大学病院など設備の整った医療機関のほうが安全です。そのときは理由をご説明し、紹介先をご案内します。

他院で撮ったCTやレントゲン、見積書があればお持ちください。同じ検査を繰り返さずに済み、「なぜ骨が足りないと言われたのか」を具体的にご説明できます。持ち物は保険証と、服用中のお薬がある方はお薬手帳です。

抜いたその日にインプラントを埋め込む「抜歯即時埋入」が向くケースもあります。詳しくは抜歯即時埋入インプラントの記事をご覧ください。

よくある質問

Q. 他院で「骨が足りないのでインプラントは無理」と言われました。もうできないのでしょうか?

A. 骨造成で補える範囲なら、インプラントはできます。補える範囲かどうかは歯科用CTで骨を測れば判断できますので、まずは検査を受けてください。

Q. 骨造成をすると、治療期間はどのくらい延びますか?

A. 骨造成と埋入を同時にできれば、大きくは延びません。先に骨をつくる場合は、骨が固まるまで数か月待ちます。骨造成を伴う場合の全体の目安は4〜9か月、通院8〜15回です。

Q. 骨造成は痛いですか?

A. 手術は局所麻酔をして行います。術後数日は痛みや腫れが出るため、痛みへの対処と術後の過ごし方を手術前にご説明します。

Q. 持病があってもインプラントはできますか?

A. 糖尿病や骨粗しょう症のお薬など、状態によっては成功率が下がったり、インプラントが適さなかったりします。かかりつけの医師と連携して判断しますので、お薬手帳をお持ちください。

Q. 費用が予算を超えそうです。どうすればいいですか?

A. ブリッジや入れ歯なら保険の選択肢があります。インプラントとの違い(削る歯・噛む力・費用)を比べたうえで選んでいただけます。なお、治療を目的としたインプラントは医療費控除の対象になります。

まとめ:次にやること

  • 「骨が足りない」と言われたら、どの部位が・どのくらい足りないのかをCTで確かめる
  • 骨造成の方法が決まれば、総額(550,000〜770,000円が目安)と期間が具体的になる
  • ブリッジ・入れ歯とも比べ、納得できる方法を選ぶ

「治療する・しない」を決めるのは、検査で自分の骨の状態を知ってからで構いません。

《出典》日本口腔インプラント学会「口腔インプラント治療指針」 https://www.shika-implant.org/

加茂 公平

監修:加茂 公平

加茂歯科医院 院長

日本口腔インプラント学会 / 日本歯周病学会 / 日本臨床歯周病学会 / 日本CAD/CAM学会 / 近未来オステオインプラント学会 会員

東京歯科大学卒業。九州大学歯学部 第二口腔外科を経て加茂歯科医院を開業。『家族に提供したい治療を』を理念に、歯科用CT・マイクロスコープ・院内歯科技工所を備え、インプラント・矯正から入れ歯まで、口腔全体のバランスを考えた総合的な歯科医療に取り組んでいます。

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